山行報告【白山北縦走路~美濃禅定道】

山フウロの西嶋さんが提唱する、白山の加賀禅定道~美濃禅定道をつなぐ「白山加美(神)駈道」。なんと夜中から歩いてワンデイでつなぐもので、数年前から企画されており、今年も秋の3連休に実施が予定されてます。
なんというかその発想が面白い!ということでこの7月の3連休でマネしてみることにしました。
しかしアクセスの悪さで有名な白山。単独行では車の回収もままならぬ、ということで自転車を利用しようと思うのは当然の発想。
Googleマップなどを駆使し、
縦走:鶴平新道~白山北縦走路~美濃禅定道~石徹白
自転車:石徹白~R146~鶴平新道登山口
という周遊ルートを設定。
縦走はコースタイムが25h30m、自転車73kmです。

白山縦走のルート

幸い梅雨も明け、晴天が約束された3連休となった。最先良いね、とほくそ笑む。
足回りは軽さを優先し、MERRELLのハイキングシューズ。
下は伸縮素材のパンツ、上はMarmotの速乾性ロングTシャツ1枚。寒くなったらカッパを着ればいい。
ザックはVAUDEのRock Light28Lの軽量ザック。
中身は、ビバークが十分にありえる為、ツェルトとシュラフカバー、あと簡単なクッカーも入れておく。水をかなり飲む方なので、水筒は1Lと0.5Lと2本をうまく使い分けよう。
行動食は迷ったが、お握り×6個、オカキ、チョコレート、ウィダーインゼリー×2、カロリーメイト、柿の種小袋×3、SOYJOY×2、ポカリスエットの粉×1、カシューナッツ。すべてコンビニで購入して済ませた。

7/17(土)前日は会社の送別会。二日酔いの頭で山行準備に手間取り、家を出たのが17:00。遅っ!
高速1000円を駆使し自転車を下山口である石徹白にデポ。さらに引き返して鶴平新道の登山口に着いたのが、23:00。思ったよりも掛かってしまった。

23:35、コンビニお握りを頬張り、長い長いハイキングに足を一歩踏み出す。
月明かりも無くヘッデンを頼りにとにかくドンドン登るのみ。この鶴平新道、山スキーでは何度も来ているが、夏道は初めて。山スキーで急な上りはこの辺かな?と考えるのも楽しい。
0:30 ヘッデンが無いと何も見えない

2:20 星空の撮影にもチャレンジ 30秒 f3.5 ISO12000

7/18(日)
上に行くほどに風も出てきて、薄着の一枚ではちょっと寒いほど。なのでできるだけ休憩も無しで登る。体調もテンションも悪くない。

1:10、赤頭山。見下ろす「赤頭山直登ルンゼ」、めっこ通称「三宅ルンゼ」は漆黒の闇。この春滑ったのはこのあたりか?はるか下にはR146の街灯の明かり。真夜中の国道には車も通らない。

1:40、野谷荘司山h=1797からは稜線歩き。月明かりの無い夜で、ヘッデンの先は何も見えない。何が楽しくてこんな山行を?と頭の中では自問自答が繰り返される。内省の時を持てるのは単独行の良さである。だからなのだろ、時々無性に単独行、それも体力勝負的な山行がしたくなる。

3:30、妙法山。イカン、ペースが遅れてきた。そういえば最近歩いてなかったっけ。

4:20~4:55、ふと振り返ると東の空が明るい。もう少しで日の出だ。ちょうど良い撮影ポイントにいるのでここで日の出を待つ。・・・しかし、思った以上に待たされた上に、寒い。
徐々に東の空が薄く橙色に染まっていく。毎日繰り返されるこの再生の瞬間。ホシガラスがその時を告げるかのように飛び交う。・・・今、世界が静かに目覚め始める、その瞬間に立ち会う。幸せ。

4:51 太陽の恵み

思ったよりも時間を過ごしてしまった。先は長い、さあ急ごう。

6:45、ゴマ平避難小屋。昨晩は誰か泊まったのかな?という気配がある。
昔、残雪期にやはり単独でここまで辿りついて、冬期入口から入れなかったことがあった。県の方には伝えたのだが梯子が付けられた訳でも無くそのまま。
3月半ばにこの小屋に訪れた人は、冬季入口の面には全く雪は無く扉に手も届かず、かといって同じ面にある1F入口は隙間から吹き込んだ雪で開かず、と難儀することになる。
9:26 白山北方稜線を振り返る


13:00、白山山頂。
北縦走路から白山山頂への道でちょっと道に迷って30分ロス。そういえば夏にあまり来ないからな。
しかし北縦走路は人と殆ど会わなかったが、ここは人で溢れる。トレランの人や巷で噂の「山ガール」も。
13:08 白山山頂

13:30、室堂への下りで膝が少し悲鳴を上げ始める。大丈夫か?俺の膝・・・。と少し不安に。

15:30、油坂の頭。
うーーー、足が上がらねーーー。膝が、、、気力が、、、。
さすがに16時間も歩いてるし、27時間寝てないし。まあ最低限のビバーク装備は持ってるので、なんとかなるわい。幸い天気もいいし、と思うと気も楽。

17:05、別山。
ここまで来ました。それでも驚くのが、こんな時間でも登山道ですれ違う人がいる事。ちょっとちょっと行動遅いですよ。って、向こうから見たら私も同じか。
17:05 月と別山

18:20、三ノ峰。
GWに滑ったのはこの谷だったかな?やはり雪がついてないと斜面は急に見える。あんなところよく滑ったわ。
三ノ峰避難小屋も当然のごとくスルー。夕陽を浴びながら稜線を急ぐ。振り返りみると太平壁が聳える。
18:57 もう陽が沈む・・・

下りは笹やブッシュで足元が見えにくいのと、泥で滑るのと、薄暗くなりかけているのと、膝がヒーヒー悲鳴をあげ始めているのとで、ペースは全く上がらない。うーん、神鳩避難小屋もありか、などと弱気ももたげる。

20:50、着きました、神鳩避難小屋。
もうここで休みたいという自分と、ここまで来たなら下山してワンデイを遂行したい自分との葛藤。下山コースタイムは1:10、じゃあ下りましょう。

22:10、石徹白登山口。
最後の下りで膝がギブアップ。おじいちゃんのような下りでヘロヘロになりながら歩む。と前方から明かりが?と思ったら登山者。私以外にも奇特な方もいるもんですね。石徹白の大杉までが遠かった・・・。さらに大杉からの下りの石段に悲鳴をあげながら、這々の体で下山。

もう、ダメです・・・。登山口を出た所でへたりこんで、靴下を脱ぐ。よく頑張ったよ、俺の足、お疲れさん、けど臭い。
残ったお握り×2を食べ、駐車場の隅に看板を使ってツェルトを張り、シュラフカバーに潜り込む時には0:00になっていた。
硬いアスファルトも快適なベッドの如く、泥のように眠るのであった。Zzz・・・

7/19(月)
7:30、起床。下半身が悲鳴を上げてる。
行動食の余りのカロリーメイトとポカリスェットで朝食を済ます。
そう、まだ計画は終わらないのだ。
自転車で石徹白~馬狩へ、約73km。基本的に下りという事で選んだのだが、満天の湯のある桧峠への上りと、ひるがの高原への上りの2本が待ち構える。
8:30、石徹白出発
自転車は膝には負担が少ない。漕ぎ足のみなので、踏み込み踏み込み進む。それでもさすがに桧峠への上りは自転車を押した。風を切っての下りは気持ちイイーーーー!!
8:45 自転車も楽し



R146に入り、高鷲IC近くのコンビニに入る。
「動物性タンパク質を摂取せねば!」とカラダが肉を欲しがっている為、普段は買わない焼肉弁当を買ってバクつく。ふーひとごこちついたよ。
国道はバイクの人が多く、挨拶をしてくれる人もいてちょっと嬉しい。でもチャリダーの方は1人しかすれ違わず。こんなに楽しいのに勿体無い。
野谷から国道を離れて作業林道を通って、
15:15、鶴平新道入り口到着。
もうヘトヘトだ・・・・。でもちょっと満足。しかしもう2度とすることはないね。

結局は、白山北縦走路~美濃禅定道を22h40mと想定よりも遅れたのは、やはり体力不足か。膝痛も結局筋力不足という事だし。やはり定期的に歩くなり、走るなりの体力トレが大事なのだと実感。

あと余談ながら、油坂の頭でヘロヘロになった時に、ふと思いついて「塩」を舐めた。すると、気力・体力共に一時的に回復。不思議な事に膝の痛みも軽減した。単に塩味の刺激で目が覚めたのか、本当に塩分不足になっていたのか。思い当たる事は、行動食に甘いものが多かった上に、塩っぽいものをあまり口にしなかった。それが長時間行動で普段以上の汗をかき、体内塩分濃度が低くなって、気力・体力を減衰させた事も考えられる。あくまで推測ですが。