山行報告【釜トン自転車作戦~槍】

日時:8月16日~17日
山域:北アルプス 槍・穂
メンバー:浅瀬(単独)
今年のお盆は台風一過ながら、天気予報は悪い。ライブカメラを見ても曇りか雨。
どこに行くか?と悩み、北陸よりも少しでも南下した方が天気はマシかな?と思い、エリアを槍・穂周遊に絞る。
さらに、ただ単に縦走では面白くないわい、とチャリで味付け。

8月15日(曇)
夕方、自宅を出発。安房トンネル手前で寝る。

8月16日(曇)
1:30起床。コンビニで買ってあったカツ丼を食ってエネルギーチャージ。
「高速道路無料化社会実験」とやらで無料の安房トンネルを抜け、沢渡に移動。
計画では沢渡に車を停めて、釜トンまで自転車で上がる計画である。
が、沢渡-釜トンの標高差があることと、思ったよりも交通量が多い、こんなところ自転車でヒーヒー漕いでたら寝惚け眼のドライバーに引っ掛けられるぞ、としばらく考えて計画変更。第2案の安房峠沿いにある焼岳への登山口である「中の湯温泉口」の駐車場に向かうことにする。

登山口駐車場には数台の車があるが、当然ながら交通量は少ない。安房トンネルが無料なのに好き好んでこんな峠道を夜中に走る輩はおらんわな。
準備を整えて、さー出発!
2:50、真っ暗な安房峠の下りをブレーキいっぱい握りしめて(byゆず)釜トン入り口到着(3:05)。
街灯とトンネルのナトリウム灯に照らされた釜トンは静かに口を開く。


3:06 夜の釜トン入り口

標高差150m、勾配11%の釜トンを前に気合を入れ、スタート!
ギアを一番軽いギアにして、ユックリユックリ上っていく。
背中に担いでいたザックを、トンネルの途中で自転車の荷台に括りつけてみると格段に楽になった。
3:34、意外と早くに釜トンを抜け、真っ暗な上高地公園線をゆったりと進む。

4:04、暗闇に沈む上高地バスターミナルに到着。
河童橋ではカメラを持ったおじさん(だと思う)を驚かし、作業林道でも親子連れ(と思う)をビビらせ(確かにこんな時間にこんな所で自転車が走ってくるとは思わないわな)、明神橋に到着(4:34)し、自転車をデポ。え?
と実は、新村橋まで行く予定だったのが、最初に見えた明神橋で勘違いしてしまったのだ。
なんのための自転車。50分のロス。トホホ・・・
5:48 横尾への作業林道

パノラマコースから涸沢に入ろうかと考えていたが、残雪が多く、ルートは閉まっている。
まあそんな無理をするつもりもないので、横尾山荘へ。

8:02、涸沢到着。涸沢カールの雪が多いね。
8:11 涸沢カール。前穂北尾根もガスの中・・・。残雪が多くてスキーヤーもいた。

見上げる北穂はガスの中・・・。天気は明らかに悪い上、雨もポツリ。
「自転車で釜トン抜けて満足したしここでテント張って、ウィスキーでも飲んでようかな」という気持ちもあったが、まだ8時だよ。行くしか無いか、と重い腰を上げ、北穂へ。
意気も上がらずトボトボと登る。

11:12、北穂小屋到着。
山頂は当然ガスの中、視界ゼロ。さらに稜線は風が強い。「ここのテン場で・・・」とまたもや心が折れそうになる。
11:13 後ろには槍がデーンと聳える、ハズ

小屋のオネーサンの「気をつけて行ってくださいね」にエネルギーをもらい、一歩を踏み出す。
飛騨側からの強風を受けながら、ガスで全く視界の効かない中、本当は高度感タップリのキレットを越えてていく。
13:30 キレットを振り返る。この日はほとんど人に会わない静かなルートであった

15:00、南岳に到着。
テントを張って、ビール2本で即寝。ペラペラシュラフは寒かった・・・。
テント代 500円
水 200円/L×2L
トイレ 100円

8月17日(快晴)
夜中1:00、寒さで目を覚まし、テントの外を覗くとガス。
「なんとか流星群とやらはダメだな・・・」とペラペラシュラフに潜り込む。う・・さむ・・・

4:30起床、朝飯を食べて、コーヒーを入れる。
外はどんな天気だろ?と頭を出すとまさかのド快晴!?ええ~?日の出を見逃した~!
あわててコーヒーを片手にテントから這い出し、朝日に照らされた笠や槍を一望する。ん~、キモチイ~
5:36 予想外の快晴

6:17、テントを片して出発。なんと言うこともない稜線を太陽に照らされながらテクテク行く。

どこか山スキーで面白そうなルートは・・・
7:20 槍への稜線散歩。やはり今年は残雪が多い

8:15、槍ヶ岳山荘到着。
見上げる梯子には人がいっぱいだ。
「あの渋滞の中に入ってくのもヤダなー、何回も登ってるし」
と槍の先っぽは軽やかにスルー。
代わりにまだ歩いた事の無い東鎌の稜線へ。
この稜線からは北鎌が一望。いいねー、あのギザギザ。あのギザギザの反対側にはいくつかバリエーションルートがあるらしい。一度見てみたい。
9:14 北鎌尾根。今シーズンは入ったパーティーはいたんかね?


10:18、水俣乗越に到着。
10:23 水俣乗越から下る

水股乗越からの下降ルートは看板もあって明瞭。
ここを下りた辺りから右膝が痛みだしてきた。
膝を騙し騙ししながら、明神橋で自転車を回収(14:32)。
あとは観光客を軽やかに抜きさり作業林道をひた走る。
釜トンに入る手前で、今しがた釜トンを抜けてきたであろうチャリダーの方が。よく昼間に釜トンを抜けてきたね!

ヘッテンを後ろ向きに装着し、点滅モード。後ろから迫り来るであろうバスに激しくアピール!
ヨシ、「バスよ来ないでー」と祈りながら釜トンに突入する。
やはり、ブレーキいっぱい握り締めて(byゆず)、路肩の端っこをゆっくりと安全に下る。
ゴォ~という車の音がトンネルに響き、昼の釜トンは恐怖以外何者でもない。
と釜トンの中でもチャリダーが。こちらの彼は一所懸命自転車を押してた。「ガンバッテ!」と声をかける。

15:20、運良くバスが後ろから来ない内に釜トンを抜ける事が出来、ちょうど抜けた所でバスが通過していった。ホッ
そして安房峠に踏み込む。荷物をデポして荷を軽くし、それでも九十九折の峠道をヒーヒー言いながら登って、16:12、車を回収。
疲れたーーー。

釜トンを夜中自転車で通過するのはオススメです。昼間は車が多くて恐怖です。
夜中であれば、釜トンを抜けてそのまま上高地まで走り、河童橋を越えて道なりに走れば作業林道に合流できます。
作業林道は砂利道なので、自転車の走行はハンドルがとられますので注意。特に夜中の視界が悪い時は気をつけてください。
作業林道は、新村橋では無く、涸沢へのパノラマルート入口辺りまで行く方が○。ここから先も自転車を押していけば横尾まで行けるでしょうが、メリットは無いでしょ うし、登山者の迷惑にもなります。
釜トン自転車作戦の最大のメリットは、当然ですがバス時間に左右されない山行計画が立てられること。
以上、釜トンを自転車で抜けようと思う人へのワンポイントアドバイスでした。