【山行報告】医王山 菱池谷(へしけたに)

浅野川源流紀行、今回の狙いは奥医王山の沢である。
沢シーズン始めの足慣らしを兼ねて2日に分けて菱池谷とワ谷を遡行してみました。

日時: 平成30年6月16日(土)
メンバー:T橋(L)、S田、M崎
行動時間:
菱池橋6:35~菱池谷~11:45稜線(登山道)~11:50奥医王山12:10~小原尾根13:10~菱池橋13:30

概要
「菱池谷」と書いて「へしけたに」と呼ぶらしい。地名の読みは奥深いものである。
この谷は、事前の記録によると、入門者向けの沢とあったり、意外と渋い沢とあったりで評価が分かれるようであり、遡行図もまともなものがないためぶっつけ本番で行ってみる。

朝一から天気もぱっとせず、薄ら寒い中、菱池谷に車を置きスタートする。
橋から堰堤が4つ連続してあるため作業道を歩き、最終堰堤を越えたところで入渓する。入渓後しばらくは、平沢歩きが続くが、程なくして直登できそうでできない小滝が断続的に現れる。沢床には所々に緑の戸室石が転がっており、流石戸室石の産地であると納得するが、水たまり状になったところには、粘土質の細かな泥が溜まっており、イワナが暮らすには少々息苦しい環境なのであろうと推測する。
また、この岩質が実に厄介で、脆い上に、実にぬめりやすいのである。沢慣れしていないせいもあるが、小滝のトラバースで2度ほどドボンをしてしまい、寒いくせに全身ずぶ濡れとなってしまう。

胸までつかりシャワーで突破するであろう5mCS滝は、薄ら寒いため巻くことにするが、判断を誤り、ロープを出して草付きから被った岩を登ることになってしまう。これが意外と渋く、久しぶりの悪いクライミングで気合いが入る。1ピッチ登ったところで、赤布を見つけ、結局、間違った巻き道だった事が判明。
5mCS滝の上にも、5mくらいかぶった滝があったためそのまま巻き道を辿ることにするが、巻き道のトラバースも妙に嫌らしく、さらに1ピッチロープを出すことにした。結局この巻きで1時間半も無駄にしてしまう。

その後も、トイ状の意外と手こずる滝などが断続的に現れ、直登にこだわらず巻きも選択しながら遡行を続け、岩盤が露出したナメ床を過ぎれば、山頂直下の細い流れに辿り付く。この細い流れが泥ゴルジュ状態だったので、進路を支沢にとり、そこを詰めて樹林帯から稜線に向かう。

稜線からはほんの5分ほどの歩きで奥医王山の山頂に到着する。人気のない山頂でドロドロになった靴を履き替え、寒いので早々に切り上げ、小原尾根を下る。
この下山道は悪場もなく、人気もなく、ブナもあり、なかなか楽しいハイキングコースであった。さらりと1時間ほどで登山口にもどり、車道を歩いて車まで戻る。

概して、菱池谷は、決して入門者向けの沢でないと痛感する。