【山行報告】剱岳/剣尾根R4

日程:2019年4月16日〜17日
山域:剱岳/剣尾根R4
メンバー:T野、M崎

かねてより憧れのルートであるR4を登りましたので報告します。
登った印象としては、アイスルートというよりも、氷の付いたミックスルートだと感じました。

1日目(4月16日)快晴
朝方、伊折ゲートに向かうもゲートより2キロちょい手前に柵が置かれており、そこから入山する。
馬場島までは自転車でアプローチするも荷が重いため長い坂道は自転車を押して歩いた。
ゼエゼエ言いながら馬場島に到着し、自転車をデポして靴を履き替え、白萩川の遡行を開始する。
白萩川の渡渉は飛び石で渡れ、靴を脱ぐことはなかった。
順調に歩を進め、初日の核心である池ノ谷ゴルジュに突入する。
ゴルジュの中は雪がしっかり積もっていて通行出来たが、まだデブリは落ち切ってなく雪崩リスクに恐怖しながら登った。
さらに、この日は快晴で気温も高く雪が緩んでいるため、脛から膝まで足が沈みペースが上がらない。
ゴルジュを抜けるとベースとする池ノ谷二俣が見えたが、ラッセルで中々二俣まで近づかない。
思いのほか二俣到着まで時間を要してしまい、急いでテントを設営して、この日は早めに就寝する。

伊折ゲートの数キロ前から入山
(実際ももう少し先まで車で入れたようです。悲)
白萩川を遡行して池ノ谷に向かう

まだ雪が落ち切っていない池ノ谷ゴルジュ
池ノ谷二俣までひたすらラッセル



2日目(4月17日)
朝3時にテン場を出発して池ノ谷左俣を詰めるが、雪があまり締まっておらず、R4の取付まで時間が掛かってしまった。
取付でR4を観察すると上部の氷は薄そうに見えて不安になるが、登ってみなけりゃ分からないのでさっさと登攀を開始する。
奇数ピッチはM崎、偶数ピッチはT野さんとした。

1P目(45m)
岩壁沿いに雪を繋いで岩場を右上し、途中から氷を直上する。
岩場のセクションは嫌らしく、朝イチで登るには中々痺れる。
また、各ピッチの終了点は上部の雪のルンゼまでは、カムとスクリュー、残置ハーケンで構築した。

2P目(35m)
1P目の終了点から氷沿いに左上してルンゼ内に入り直上する。
ルンゼ内は氷と雪が詰まっており、アックスの刺さりは良かった。

3P目(50m)
トポの3P目と4P目を繋げて登った。
出だしは狭いチムニーで登りにくかったが、その後は快適。

4P目(35m)
氷のセクションとしては核心のピッチでベルグラを登る。
薄い氷でスクリューは刺せずランナウトするので、精神的に思い切りが必要。
ただ、見た目とは裏腹にアックスはキッチリ刺さった。
ベルグラを抜けた先は快適で、小滝の前まで進む。

5P目(60m)
3メートルほどの小滝を超えると広い雪のルンゼとなる。
まったく難しくはないがランナーが取れないので緊張する。
ロープ一杯まで登り、小枝を掘り起こして支点を構築した。

6P目(50m)
間違えて右側のルンゼを登ってしまい時間をロスする。
仕切り直してリードを交代し、岩壁沿いに左のルンゼを登るが、ランナーはまったく取れず、岩壁の溝に中途半端にしか入らないがC4#0.3を一本ねじ込んで精神安定剤とし、草付きミックスの岩場を登ってハイマツで終了点を構築。
恐らく落ちたら取付までパーティ共々振り出しに戻る。
精神的にはこのピッチが核心でした。

7P目(40m)
ハイマツ沿いに緩やかな雪稜を登り、剣尾根の稜上にトップアウト。
一気に視界が広がり、心地よい。

登攀終了後は、コルBに向けて懸垂下降し、R2を下る。
さっさとテントに戻って下山を開始するが、池ノ谷の雪は緩みまくっていてズボズボ足が埋まり辟易とする。
池ノ谷ゴルジュの通過時、直前まで歩いていた場所に土砂崩れを伴う激しい雪崩が発生するのを目撃し、死を意識する。
周りを見れば亀裂の入った斜面が沢山あり血の気が引く。
文字通り必死でゴルジュ内を駆け下りて無事に安全圏まで降りれた時は心底安心した。
馬場島からは自転車で坂を一気に下り、下山しました。

剣尾根R4
2P目のミックス
3P目の雪壁

4P目のベルグラ登攀

5P目の上部の雪のルンゼ

剣尾根の稜上にトップアウト


目の前に剣尾根上半部が見える