【山行報告】錫杖 グラスホッパー(敗退)

日時:2020年2月24日
メンバー:T原、T野、T谷、(会外:M)
山域:錫杖岳グラスホッパー

4時起床5:30 道の駅上宝発
6:00 槍見温泉発
8:00 クリヤ谷の岩屋 待ちを予想してゆっくり
9:00 3ルンゼ取り付
10:00 グラスホッパー取り付
11:00頃? 雪崩発生、下降を決める。ザックの捜索
12:30 クリヤ谷の岩屋
14:00 槍見温泉
 富山県射水市のパキスタンカレー屋カシミールを経て
19:30 若松RP

24日は晴天の予報だが一昨日、昨日と二日積雪しているはずなのでラッセル敗退を予想。3ルンゼ取り付まで行って帰ることになるかなと考えつつ出発。
6:00 槍見温泉発
トレースがある。これが笠が岳に行くトレースだとしても助かるね、今日行けるかも。
途中の川を渡った所で後ろからきた二人組に追いつかれたので先にいってもらう。彼らも3ルンゼからグラスホッパーの予定と聞く。
8:00 クリヤの岩屋にトレースに助けられ難なく到着
テントが2人用2張ありザックもデポしてある。2Pかな?追い抜かされた二人もいれたら3P入ってるのかな。
待ちになるだろうね、と言ってここでゆっくりして、トレースがあるから要らないよとワカン類をデポ。
9:00 3ルンゼ取り付
二人組のリードの人が登ろうとしているところ。
「前にPがいて待ちですか?」と聞くと、
「いや待ちではないんだけど、スノーシャワーが降ってきて自分の力だとあれがリードしてる時にくると思うと、進めなくて、、もう一度トライしてだめだったら先にどうぞ」と。
確かに結氷は甘く、ドライ気味のところにスノーシャワーがどんどんくるのでひどく悪そう。。
ここで下に私たちを追い抜いた二人も待っているのが目に入り、あ、あの人達も待ってるから、南東壁のグラスホッパーを見に行って登れそうなら、直接グラスホッパーに行こうと。
われわれが壁の基部を回ろうとしていると、同じ結論に達したらしく二人組もグラスホッパーに向かうことに。しかし彼らのラッセルの方が早くて先に行かれてしまう。
10:00 二人組のラッセルの後を追ってグラスホッパーへ
まず右側の難しそうな巨大つららが目に入ってくる。。そして傾斜のゆるい左ルンゼが目に入り、その左側にグラスホッパーが。
グラスホッパーは右ルートと左ルートがある。
右はダメだろう、、岩の上に雪がのってるだけのようだ。
左は、つながっている、やったー行けそうじゃん!
二人組が岩のチムニー上から登りだす間、われわれも登攀の支度を。
二人が消えてからMさんとT谷のPが先行する。
T谷君が離陸後、T原さんにビレーしてもらいT野も離陸。

11時ごろ 雪崩発生
チムニーはベルグラの岩をチムニー登りで抜けるとその後は雪壁で、スクリューの利くようなアイスがないのでノープロテクションで登って行った。
上にはMさんとT谷君が二人、灌木でビレーをとっている。
彼にあと7-8mのところは氷っぽくはじめてアックスが効く感じになった。
スノーシャワーが落ちてきて、Mさんが「雪おちてくるのでスクリューうって」と言うのでスクリューを打とうとアックスを決め直した時、わーっと雪崩れてきた。
圧倒的なもの、爆風ってほどではないが止まらず次から次へと雪が押し寄せてきた。
雪が押しよせてきた時、落とされまいとアックスのグリップをしっかり握り直したのに押し寄せる雪ですぐに手が離れてしまった。
しかしアックスがきいていてアックスのリーシュで身体はつながっていて落ちて行かず雪になぶられ息ができない。
口はふさがってないのに、息が苦しい、落ち着けと思うが息は苦しいまま。。パニくっていて息苦しいのではないようだ。
ノープロテクションで40メートルも伸ばしちゃったからこの雪崩でアックスが外れたら40mは落ちるよなー、そのあとももっと落ちるかも、、うーんでも落ちて行かないから、、息が苦しんだよね、、落ちたほうが息できるかも、とか考えながら雪が流れる限り自力では何をすることもできない。
自分には長い時間だったが1分ほどで雪崩はやんだ。
T谷くんが私を見て、「あ、T野さん生きてたんだー」と言う。
このセリフ久しぶりに聞いたなあ。。

これ以上落ちないようにとりあえずスクリューを一本埋めた。
細い灌木からビレーをとった二人と合流。私もセルフをとった。
MさんとT谷くんが、また雪崩れそうで怖いんで降りましょう、と言う。
えーせっかくグラスホッパーのコンディション良さそうなのに、、
「えーわたしは大丈夫だよ、ここ雪崩の通り道みたいだけど(アイスになってたのは雪で磨かれてるからだったのか)ここを過ぎたら大丈夫なんじゃない?」
と言うが、上のPからラーックという声がして、大きな氷のかけらが雪とともにたくさん落ちてきた。
残念だが下降を決める。残置スリングが怖いとMさんが言うのでもう一本スリングを別の灌木から足して下降。
下に着いたら置いて行ったザックとストックが消えていて、T原さんと先に降りたT谷くんが探している。
T谷くんのビーコンを借りて、T原さんがザックにビーコンをオンの状態で置いていったおかげでT原さんのザックを掘り出せた。
T原さんは手馴れた感じでザックからゾンデ棒を取り出し、近くにあったT野のザックもゲット、さっすがー!
ストックも探すが、ストックはさすがに無理?と思っているとMさんのザックと二人のストックが斜面の下のほうに流されているのも発見。
見つかってよかった。
わたしはスーパーウルトラライトのスクリュー3本が無くなっていることに気が付く。雪崩でギアラックのゲートがあいて流れたらしい。
かけていたスワンのサングラスも雪崩で壊れて全部で3~4万のロス。

下降とともに雪は腐れていき、渡渉点で雪に埋もれて見えない仏様に助けてくれてありがとう、と手を合わせて拝みました。
槍見温泉まで下りるとすでに朝の雪は消えていました。
雪崩れの雪の重みで腹筋が痛んでいるのか肋骨が折れたのか、右のわき腹あたりが痛み早く歩けないで3人からだいぶ遅れて駐車場に到着。
温泉に寄ってMさんオキニのカシミールでしこたまパキスタン料理を腹に仕込み金沢に帰りました。

錫杖を登るのを楽しみにしていた3連休。
ひとつも計画が達成できませんでしたが誰も文句を言わず、大変申し訳なく思いました。
またリベンジしたいと思います。