北海道 知床五湖大氷瀑Keis gift

日にち:2023年2月17日~20日
メンバー:T野、(会員外Y岡)
山域:知床五湖大氷瀑Keis gift

17日 東京経由女満別空港からレンタカーで網走まで
ホームセンターで荷物運び用のそり購入

18日 網走から岩尾別ゲートに駐車
8㎞ほどの車道を徒歩でソリ引いて知床センターへ
知床センターでスノーシューを3日間借りる
知床五湖にはスノーシューハイクツアー客がたくさんはいっていて3湖までは踏み固められているのでそりをひっぱっていけた。
(普通の2泊3日なのだがY岡さんの個装がいちいち巨大でそりで荷物を運ぶ。)
3湖より先はノートレースで深雪のためソリがひけなくなり、Y岡さんはソリは湖に置いていくことに(もともと不要では?)。
230mピーク付近の林のはじっこにテントを設営して下見に行きます。
落ち口は狭い。ほんとにこの下に巨大な滝があるのか。
海の流氷が雲母のように銀色に輝く。

19日 7時頃出発
60m2本で懸垂
1回目40m 木でY岡さんをロワーダウン。
ストップと言われたところで停めてアバラコフ(スクリューで氷に穴をあけて支点とする)を作るのを待ちます。
私は懸垂で降りてロープを抜きY岡さんを再びロワーダウン。
2回目50m アバラコフでY岡さんをロワーダウン。
ロープの支点はアバラコフより高い位置にあるスクリュー1本でとっていたので、私が降りるときはスクリューはアバラコフのみで降りるため怖いのなんの。。この日一番の恐怖でした。
50mほぼ垂直だったのでこれを登るには足で登らないと絶対無理だな、、
5級のアイスが登れたとしても5級の垂直アイスが60mくらいぶっ立てるんで腕だけだと絶対パンプするな。
アバラコフ壊れたら110m落ちるから登る前にしぬな。
3回目60m なぜかY岡さんの作ったアバラコフは足元にあり、スクリュー2本でY岡さんをロワーダウンしてからスクリューを回収し足元のアバラコフに四苦八苦して移り最後の懸垂、海まで。
3回の懸垂に1時間半を要し神経を消耗。

見上げるKeis gift は北海道で逝った谷口けいさんの名前を冠するだけあり見たこともない大きさです。
Y岡さんも「これは間違いなく日本最大の滝だ」と。
ロープは1本はザックにしまい、紅茶を飲んで最初のWI3くらいのピッチは私から始めます。
登りやすい氷で汗ばむ。
スクリュー3本で50mくらい延ばす。
次のピッチはY岡さん。
2ピッチは50m WI5から5プラスくらいですが、2回に分けるかもしれない、登ってから決めるといって登りだします。
最初左にいってまた右に行ってまた左にいくようなルートどりでした。
Y岡さんはいつもながらガンガンアイスを雨あられと落とします。でかいし数がはんぱなくとてもよけられません。
大きいのが肩にあたりうめいているともっと大きいのが左ひざにヒット。衝撃で絶叫する。
左足の感覚がなく、骨折したかとぞっとする。
30分もするとY岡さんからビレー解除のコール。左足を動かしてみると動かせた。
力は入らないけど骨折してないようだ、筋肉が切れただけのようだ、よかった。
ここからWI5アイスが60mは続くので登れるか絶望的になる。
エスケープは登るしかないので左足を置くたび絶叫しながら登る。
リードはとてもできないので残りのピッチも全部Y岡さんが行くことに。
3P目 ここからはWI4-5くらいでやさしくなってきますが、内出血がすすんだようでヒット直後より登るのが困難になってくる。
異様に気温が高く雨も降ってきた。
足を踏ん張れないので左は膝で登る。
私もリードしたかったのに、フツブツ。。
この滝に来ることはもう2度とないだろう。と悔し泣きしながら全部で4ピッチプラス少しで朝下降につかった立ち木に昼過ぎ到達しました。

8時45分に登りだして普通なら3時間くらいのところが倍近くかかりました。
私がリードの2倍くらいフォローに時間を使ったため。
滝の落ち口でロープは外しそこからコモドトカゲのように四つん這いでテントまで戻りました。
這ってきたのでびしょびしょでしたが時間がかかっても構わないので水を汲みに行く。
Y岡さんはいったん荷物の一部をそりを置いたところまで運んでくれました。
翌日ぺセパキの滝を予定していましたが明日歩けるかも不安な状態のためキャンセル。

21日
7時半出発で荷物を軽くしてもらい知床センターまでもどりスノーシューを返却。
吹雪の中、次の日登攀予定にしていたフレペの滝を見に行きました。
足は平たんなところは歩けます。
フレペの滝は登った記録がありますがそのPは相当強いですね。
上部がつながってなくてかなり悪そう。吹雪でよく見えないが氷も不安定でよくはなさそうです。
フレペは今日一度ウトロまで戻ってから明日登る予定でしたが、吹雪も滝自体も私の足の状態もすべてが否定的状況なのでやめに。

センターでビデオを2本見てからウトロのタンポポという民宿に泊まり濡れた装備を乾かしました。
足のはれは大したことなく膝は曲がった。
4本のみみずばれ何だろうと思ったらオーバーズボンの膝しわの折り目が内出血の跡として残っていたので驚きました。
膝上のふとももからふくらはぎにかけて内出血で変色していたので、膝の骨に当たらなくて筋肉にあたったので骨折しなくてすんでラッキーでした。
後から話ですがY岡さんもでかい氷なので一瞬コールしようかと思ったがどうせ下に人はいないしと黙って落としたら私が下で叫んでいたので、あれ、いたんだと思ったみたいでした。
まあアイスはいろいろ落とすし自分でも顔によく氷ぶつけて流血するのが普通なんですが、でかいのを落とすときは下に人がいないと思ってもコールしましょう。

22日
網走まで移動 数日ここに滞在します。
能取岬の氷瀑を確認に行きます。
スノーシューハイカーたちで踏み固められたトレースがあり、海岸に降りるとたくさんの氷瀑がある!!
全部高さ35mくらい。
オジロの滝40mWI4を一つ登ることにして、私から。
Keis giftをリードしそこなった恨みを込めて丁寧に登ります。
ここに来る前に見てきたYoutubeのBDの兄ちゃん
顔はBLTな感じでしたがなかなかいいことを言ってました。

 下手な人はね、足元を見ないでただ蹴ってるだろ、
 腰をしずめて足元を確認するんだ。
 ほらこうやって立ち上がってヒップは氷に近づけると安心だろう!

なるほどー

 スクリューはね岩登りのボルトとは違うよ
 致命的なフォールを避ける以上のことは期待しないほうがいい。
 落ちるなよ。

なるほどー
とBLTお兄さんの教えを再生しつつ登ります。
翌日もクジラの滝40mWI4を私からリードさせてもらいました。
この2本のリードで冷たい雨に打たれていた心も少し晴れました。