北海道(雌阿寒岳、トムラウシ山、旭岳、幌尻岳、十勝岳)

 先日、知人のJさんと北海道の山々を登ってきました。
いずれの山も好天に恵まれ、果てしなく広がる北海道の山並みを存分に堪能した山旅でした。

日時:2025年9月4日~10日
山域:北海道(雌阿寒岳、トムラウシ山、旭岳、幌尻岳、十勝岳)
メンバー:S田、(J)

9月4日(木)   雌阿寒岳
昨年はフェリー到着日の登山がきつかったので、今年は行程軽めの山をセレクト。
雌阿寒温泉登山口を9時30分出発。
アカエゾマツの樹林帯は涼しくて快適。
雌阿寒岳には11時30分着。
花はエゾトリカブト、カニコウモリ、アキノキリンソウ、アザミくらいだった。
火口からは噴煙がすごい音を出して噴き出しており、ちょっと不気味だったけど聞けば今は火山活動は結構安定しているとのこと。
昨日はバケツをひっくり返したような雨だったらしく、今日の好天は北海道山旅一日目の素敵なプレゼント。
足慣らしも兼ねての山だったが、火口の迫力ある景色、雄阿寒岳、阿寒湖、阿寒富士の眺望が良くてラッキーだった。
下りはオンネトーコース。意外に時間がかかって登山口には15時30分着。
雌阿寒岳

 阿寒富士

9月5日(金)   トムラウシ山
トムラウシ山は行程が長いが、ヒグマが怖いので明るくなってからの5時を予定。
ところが他の登山者は結構暗いうちから出発している。
登山道は草刈りや木道の整備など、しっかり手入れされていて歩きやすい。
ただ、上部は岩稜帯で少し気を遣う。
地元の登山者と前後しながら歩く中で、山の名前を教えてもらう。
ニソペツ、富良野岳、十勝岳、旭岳…
今日はほぼ無風状態、空気も澄んで周りの山々の眺望が素晴らしい。
頂上には10時40分着。下るのがもったいないくらいの天気だが、そう長居も出来ない。
途中、前トム平で休憩し、下りて来た登山道を見ていると100m位先の斜面に3頭のヒグマの親子連れを発見。
Jさんが登山者に知らせようと「クマ、クマ」と声を上げるが、耳のいいクマの方がこっちを向き(Jさん曰く睨まれたらしい)、登山者には全く声は届いていない模様。
やっぱりヒグマはいるんだ…
遭遇はしたくないけど、今回は目撃できてラッキー!ヒグマ目撃でちょっとテンションは上がったが、後はひたすら長い登山道に閉口しながら16時20分に無事下山。
トムラウシ山

トムラウシ山頂上

9月6日(土)    大雪山旭岳
予定では休養日だったが、次の山、幌尻岳の日程と天候の関係上、今日まで頑張って登り、雨予報の明日を休養日にすることにした。
旭岳はロープウェーを使うので、比較的身体には優しいルート。
ロープウェーの姿見駅を6時45分出発。
噴煙を上げる地獄谷越しにピークを望みながら約2時間で道内最高峰の旭岳へ。
風は強いが天気は良く、ぐるりと周りの山々が見渡せる。
昨日登ったトムラウシ山は双耳峰のカッコいい姿で鎮座している。
十勝、石狩の山々も見通せる。
花はエゾトリカブトが鮮やかな紫で群生、チングルマの綿毛も一面を覆っている。
花のシーズンはさぞかし素晴らしいお花畑だっただろう。
旭岳から間宮岳、中岳温泉を周遊し、姿見駅には14時着。
ウラシマツツジ、チングルマの葉っぱの紅葉が鮮やかだった。
旭岳

ウラシマツツジ

9月8日(月)~9月9日(火)    幌尻岳
幌尻岳額平川コースはアプローチでの10数回の沢の渡渉、幌尻山荘の予約が必須なことから天候、小屋の空き具合を
確認しながらの山行実施になる。
当初の計画では一日目が小雨模様の為、予定変更し、一日ずらして入山することにした。
起点のとよぬか山荘4時発のシャトルバスに乗車。
丁度皆既月食も見られた。
第二ゲートを5時出発。
みんなハイスピードでスタートしていく。
我々はのんびり行くが、結局幌尻小屋には予定より早い9時10分着。
Jさんが心配していた10数回の渡渉は深いところで膝上程度で無事クリア。
渡渉ポイントは分かりやすいピンクテープが誘導してくれるのでありがたい。
まだ時間は十分あり、今日のこの好天の中、頂上を目指さない選択肢はない。
不要な装備を小屋にデポし、10時に小屋を後にする。
急登を抜けると真っ青な空に緑のコントラストが映える稜線が美しい。
小屋から3時間強の13時過ぎに幌尻岳に到着。
今日も360度の展望が欲しいまま。
他の登山者によれば遠く知床連山まで見渡せているらしい。
見下ろす北カールはヒグマがいてもおかしくない雰囲気だったが、今日は発見できなかった。
小屋に戻ると20人弱のツアー客や10人弱のパーティーあり、ほぼ満員。
さすが人気の幌尻岳である。
翌日は幌尻小屋を6時半に出発し、第二ゲートに11時到着。
12時発のシャトルバスだったが、メンバーが揃ったことを確認し、11時20分頃出発してくれた。
それにしてもエゾシカが多い。シャトルバスと競争しながら並走するのだから運転手さんも慣れたもの。
幌尻岳(渡渉)

幌尻岳頂上

9月10日(水)    十勝岳~美瑛岳
今回最後の山、十勝岳。
前日、登山口で観光スポットにもなっている望岳台に移動したが、
夕陽に照らされた噴煙を上げる十勝岳はなかなかの迫力だった。
夜中に降雨があったが、朝には晴れ上がっていた。
望岳台を5時出発。
登山道の両脇にはシラタマノキの群生がきれい。
イワギキョウ、オヤマリンドウ、タテヤマリンドウも紫の花を楽しませてくれる。
十勝岳の噴煙はモクモク勢いよく上がっている。
雨上がりで空気が澄んで気持ちいい。
振り返れば広大な十勝平野。
最後は岩混じりの急登を登り詰め、8時40分に十勝岳到着。
先日登ったトムラウシ山、旭岳が望める。
今日は予定通り美瑛岳まで縦走する周回コース。
十勝岳から美瑛岳の稜線はかなりの強風に曝される。
それでも日本とは思えないような独特な雰囲気の荒涼とした広大な景観に圧倒されながらの歩きは楽しい。
美瑛岳には11時20分着。
十勝岳のきれいな三角形の頂が秋空に映える。
旭岳からトムラウシ山を始め、歩いてみたい魅力的な稜線が沢山あるなぁと思わず見入ってしまう。
そろそろ草花が紅葉に色づき始めており、北海道の山には秋の訪れを感じた。
登り口には15時半到着。
十勝岳

シラタマノキ

今年も昨年に引き続き北海道の山歩きを楽しむことが出来ました。
怖いのは山ではヒグマ、ドライブではエゾシカ。
熊スプレーはもちろん携帯しているが、それでも実際にヒグマを目撃するとその大きさと動きの速さに、いざという時にちゃんと使えるか心配。
運転はとにかくスピードを抑えて。途中3頭くらいのエゾシカが道の真ん中でたむろしている場面に出くわしたり、
道端で死んでいたりと全く油断できなかった。
それらのリスクはあるにせよ、魅力満載の北海道の山。
また訪れたいものです。