岩間噴泉塔の古道探索

 日にち:2025年10月13日
山域:白山中宮道 シナノキ平避難小屋手前~岩間噴泉塔~岩間登山口
メンバー:I垣、A瀬、(K市チャ)

昭和47年頃の「山と高原地図ー白山」

昔、川村さんからいただいた昭和47年頃の「山と高原地図-白山」には今は失われた登山道や山小屋が描かれている。
その一つに、「岩間噴泉塔~シナノキ小屋~霧晴峠~蛇谷~国見山」へと続く登山道が記載されていて、面白いと思っていた所、I垣さんから、「岩間噴泉塔~シナノキ小屋の旧登山道に行きましょう」とお誘いをいただきました。面白そうです!
準備のため、昭和44年の国土地理院地形図も入手しました。

白山に向かう道中は雨…。お昼から上がる天気予報を信じよう。
4:50 中宮温泉の駐車場に車を駐め、小雨の中を出発。中宮道の急登を喘ぎながら登る。
しばらく登ると空は白みはじめ、ガスの中から景色も見え始める。紅葉にはまだしばらくかかりそう。
真っ暗な中出発です
歩くにつれ白み始めてきました

7:30 下降ポイントとなる、h=1172尾根のピーク(h=1410)に到着。ここから古登山道が続いていたらしい。
ハーネスとヘルメットを装着し、下降開始。ブッシュの中にうっすら見える踏み跡?ケモノ道?という跡を探して進む。
古道を探して尾根の分岐から下り始めます
踏み跡?を探しながら下ります
 8:20 尾根末端で沢に下り立つ。旧登山道は谷をわたりトラバース気味に尾根に上りあげている。が、目の前の急斜面には登山道らしき痕跡は見つけられない。
「これは沢下降が正解でしょう」と沢靴に履き替えて沢を下降していく。目指す分岐ポイントの手前で、地形図からは読み取れない大滝が現れる。
それならばと、枝尾根にとりつき、尾根上を目指して上る事にする。
急登をブッシュを掴みながら登っていく。ふ~、疲れます。
沢を下降していきます
古道を目指して支尾根を登っていきます
 
10:30 目指す尾根に到着すると、旧登山道跡に復帰。再度うっすら踏み跡を辿っていく。
地形図では広尾根としか読み取れない尾根は、実際には谷と尾根が複雑に分岐する地形。
いつの間にかケモノ道に入り込んだようで、このままでは崖に行き着いてしまう事に気づく。
「しかたないです。登り返しましょう」
と下降してきた尾根を登り返し。ひ~、疲れます~!
GPSと昭和44年の地形図とを見比べ、登山道の痕跡を探し、3人であーでもないこーでもない、と相談しながら進む。
急な下りで、懸垂下降を交えながら下っていくと、かなり標高を落とした所でナタメや針金を見つけ、ようやく旧登山道である事を確信する。ホッ。
半分朽ちた鎖が残る旧登山道が谷をトラバースする箇所でロープを出し、最後は懸垂下降、
古道で休憩
針金です、人跡を発見です!!
最後の崖は懸垂下降で降ります

13:15 ようやく岩間噴泉塔の近くに降り立つ事ができた!
崖一面からシューと音を立てて吹き出す噴泉や、硫黄が固まった白い滝など、奇景を3人で堪能する。
帰路は、取水堰堤から林道へと上がる道がある筈、と見当をつけ中ノ川を下降する。
岩間の噴泉塔が湯気を立てて吹き出しています



古道の入口を探しますが、見つけられませんでした

岩間噴泉塔の「白い滝」です

中ノ川には重機がドンと現れビックリ。取水堰堤の修復工事を行ってました。工事の方に一言お断りをして、取水堰堤脇のコンクリート階段に取り付き登っていく。
この階段もかなり傷んで荒れており下降には使いたくない、という代物。ちなみに工事現場の方が利用している形跡は無い、ヘリで送迎しているんでしょうかね?

取水堰堤の工事をしていました
 
ご挨拶をして、階段を登ります
階段は荒れています。下りで使うことはおすすめしないです

15:50 岩間林道にようやく上がる。林道は荒れているが、人の通行の跡があります。
最後の林道崩落地は、ロープを頼りに崖をよじ登って、楽々新道の登山口に合流する。
あとは林道と、導水管脇の急階段を下り、真っ暗な中、中宮温泉に帰着(18:20)。
岩間林道を歩きます
岩間林道の崩落地点を大高巻きします
導水管脇の急階段を下ります
そしてようやく中宮温泉に帰着。
 
旧登山道(古道)という事は、人が歩きやすい所に道をつくっている筈、もしかしたら痕跡も残っているのでは?
という甘い目論見は見事に打ち砕かれ、古い「山と高原地図」ではコースタイム1時間30分と記載がある所を5時間45分かかって下降した事になる。
それでもかつては大勢(?)の人が行き交ったであろう旧登山道を歩く事ができ、満足なのです。